クエン酸ガリウムシンチ

  • クエン般ガリウム (Ga-67citrate:67Ga) は腫瘍・炎症シンチグラフィとしてよく使用されるトレーサである。
  • 67Gaは炎症巣に集積することから炎症診断で利用される。
  • 感染性心内膜炎を初めとした不明熱の原因検索のために67Gaシンチグラフイが行われることも多い。
  • 心疾患では、サルコイドーシスにおける心病変の評価に有用である。
  • 集積機序としては、トランスフェリンと結合し、トランスフェリンレセプターを介して細胞と結合するといわれる。

Gaシンチの検査法

  • 67Ga(74~111MBq)を静注し48〜72時間後の全身前後像の撮像が一般的である。(半減期は78時間)
  • ただし炎症の評価には静注後6〜24時間程度で判定することもできる。
  • 前処置として下剤を投与する。

ガリウムシンチの主な適応疾患

  • 主な適応疾患はSLIMである。
  • Sarcoidosis(サルコイドーシス)
  • lymphoma(悪性リンパ腫)
  • inflammation(炎症・感染)
  • malignant melanoma(悪性黒色腫)
  • 循環器領域では心筋炎、心サルコイドーシス、感染性心内膜炎、心移植後、大動脈炎、解離性大動脈瘤での炎症や悪性リンパ腫の心浸潤や転移の補助診断として用いる。
  • 非腫瘍性病変では、サルコイドーシスと、肉芽腫性疾患(塵肺、結核、Wegener肉芽腫など)。炎症では、間質性および慢性がキーワード。
  • 腫瘍では、悪性リンパ腫の他、甲状腺未分化癌、悪性黒色腫、肺癌、頭頸部癌で集積する。未分化ほど集積する。

病勢評価と治療の適応に利用できる疾患

  • 副鼻腔炎、
  • 自己免疫性唾液腺炎、
  • 急性甲状腺炎、
  • サルコイドーシス、
  • 間質性肺炎、
  • 塵肺、
  • 結核、
  • ウェジナー肉芽腫、
  • 薬剤性肺炎、
  • 放射線性肺炎、
  • カリニ肺炎、
  • 好酸球性肺炎、
  • 胸膜炎、
  • 胆嚢蓄膿症、
  • 炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、
  • 間質性腎炎、
  • 薬剤性腎炎、
  • 尿細管壊死、
  • 腎盂腎炎、
  • アミロイドーシス、
  • 骨髄炎、
  • 椎間板炎、
  • 皮膚筋炎、
  • 蜂窩織炎、
  • 筋壊死、
  • 関節炎など。
    各所膿瘍の評価にもよい。(核医学画像診断ハンドブック エルゼビア・ジャパン 利波紀久先生、中嶋憲一先生 より引用)
病変の読み方
  • 鼻腔、涙腺、唾液腺、肺門リンパ節、肝、腸管、脊椎、骨盤骨、陰嚢、乳腺の生理的な集積パターンを念頭に置く。(24%が骨・骨髄、5%が肝、1%が脾に集積。)
  • 頭頸部では、鼻咽腔、耳下腺、時に涙腺が描出される。
  • 胸部では、胸椎、胸骨、肋骨、肩甲骨などに集積、肺野では1/3で両側肺門部に八字型の集積。女性では乳房も(授乳期や月経前期など特に)描出される。
  • 肝への集積は著明、脾も軽度描出。腎からも排泄されるが、腎の描出は24時間以内。
  • 腸管への分泌は著明。
  • 全身後面像で淡く骨髄や腎が描出されても異常所見ではない。
  • 頭頚部と四肢以外の、生理的集積が少ない体幹部は、SPECTが極めて有効。
  • 集積増加所見があれば、その部位と範囲をCTやMRで確認。
正常症例① 70歳代男性

ga1

腸管への集積を認めるが、生理的。

 

正常症例②

ga2


 

正常症例③

ga3


症例 20歳代女性 悪性リンパ腫

Ga scinti

胸骨および右優位に腋窩に集積を認めており、ともに悪性リンパ腫によるinvolvementを疑う所見。

筋サルコイドーシス
  • サルコイドーシスのうち、5%程度に骨・関節・軟部領域にも病変を認める。
  • 筋サルコイドーシスは、MRIのT1WI/T2WI/STIRにて冠状断像あるいは矢状断像でストライプ状の異常信号(高信号)を呈する。中心に星芒状の瘢痕(dark star)を低信号として認める。
参考)67Gaのびまん性肺集積の鑑別
  • 活動性間質性肺炎(炎症性、化学療法に伴う)
  • 肺線維症

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